誘惑したい上司の条件〜真島果穂になりたくて〜



1人ポツンと残された部屋の中で暫く頭を抱え込んでいた。




彼女はわがままだ。


人の気も知らないでやりたい放題の傲慢な一面のある女だ…。




だが…




仕事に対してはどうだろう。



果穂は仕事に関してだけは誰よりも真面目だ。


その果穂が仕事に時間をとられてしまうことを理解できないような女ではないはずだ。







彼女が部屋を出て行ってしまってから…



自分のとった行動を少し反省した。




荷物なんか後でいくらでもまとめられるじゃないか。



やっぱり今は…



勢いよく立ち上がり彼女を追いかけるべく外に飛び出して辺りを見回してももう果穂の姿はどこにも見えない。



歩いて帰宅するには遠すぎる。



それならバス停に向かってるはずだと急ぎ車をだして、近くのバス停まで車を走らせると


遠目に小さく彼女らしい姿を見つけて、車を停車させた。



「果穂、悪かった。俺が間違ってた。」


窓を開けながら声をかけると、彼女は少し驚いたような表情で俺を見た後、しばらく黙り込んでしまった。



……まだ怒っているのだろうか?












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