誘惑したい上司の条件〜真島果穂になりたくて〜
「腹減ってんだろ?早めに持って来るからな。」と厨房に向かおうとした店主が、一度振り返り哀れむような目で私を見た。
ん?
…なんだ?
「可哀想にフられたんだってな…傷心中だろ?今日はサービスしてやるからな。」
「えっ⁉ちょっとっ…‼」
驚いた私を無視してそのまま厨房へと入ってしまった店主…。
フられたって…
まさか…
あいつら…
あることないこと、ここで喋ったなっ⁈
フられてなんかないってばっ‼
叫びたい思いで口をパクパクさせながら厨房の方を見ていると
嫌な視線を感じて…
ゆっくり
新井課長の方に目をやると
肩を震わせ笑いを一生懸命、堪えている彼がいた。
最悪…。
私の立場もプライドもあったもんじゃない…。