愛は時として狂気と化す
急な申し出に戸惑ったわたしを見て、灰くんは困ったように笑った。


「何でもいいよ。
だって、『サクラギ』じゃあめんどくさいだろ?
今日から俺は瑠美のペットみたいなもんなんだから。
タローとかそんなんでいいし」


「…えー…じゃあ」


わたしは、灰くんの瞳をジッと見た。


綺麗なグレーの瞳。

グレー……グレイ……はい…灰…カイ



「サクラギ…カイ……。

…うん!桜木灰!!これがいい!!」



わたしはメモ用紙に『桜木 灰』と書いて、灰くんに見せた。


「へぇ……かっこいいじゃん…。
ありがとう、ご主人サマ」



そのとき


灰くんの屈託のない笑顔を見たとき



変な感覚がした。




体中が


ゾクゾクするような


疼くみたいな感じ。




このときから


わたしの感情は狂い始めていた。




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