愛は時として狂気と化す
‡6‡
電気スタンドも投げ付けて

鏡は粉々になった。


飛び散った破片が頬や腕を掠めたけど

そんなのどうでもよかった。


一仕切り暴れると、さっきよりももっとひどい格好になっていた。


「…お風呂」

興が覚めたように、わたしは浴室へ向かった。


泡が浮かぶ湯槽に浸かると、ガラス片で切った傷が凍みた。


灰くんはいつもこんな感じだったのかな。


風呂から上がり、部屋に戻ると、ひどい光景だった。


鏡は粉々だし

破片は四方八方に飛んでるし。

脚が折れた椅子に、首がありえない向きに曲がった電気スタンドは転がってるし。


わたしは、灰くんが帰ってくる前に、急いで片付けをした。



「……ただ今帰りました」


一通り片付けが終わって、ベッドに寝そべっていると、灰くんが帰ってきた。



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