愛は時として狂気と化す
灰くんは、すぐに部屋に入ってきた。
「瑠美…調子どお?」
「えぇ…まぁまぁ」
「そっか…よかった」
わたしは、ぼぉっと灰くんの横顔を眺めていた。
外人さんみたいに…鼻高いなぁ…
ハーフ?
灰くんのこととか、全然知らないし…。
何て考えていると、灰くんが不意にこちらを向いた。
「あのさ」
「へっ?」
「俺、ここを出ていく気はないから」
「…そう」
わたしは素っ気なく返事をして、灰くんから目を反らした。
灰くんが肩に掛けている鞄を床に置いた…
と同時に、淡いピンクの便箋が落ちてきた。
見るからに、女からもらった物。
「何…これ」
「それは…っ」
灰くんが拾うより早く、わたしはその便箋を拾った。