愛は時として狂気と化す
‡7‡
わたしは灰くんの顔に手を添え、思い切り自分の顔に引き寄せた。
「瑠…っ…」
「ねえ灰くん、わたしのこと好き?」
わたしは灰くんの頬を撫でながら聞いた。
「…好き…だよ…」
灰くんは目を細めながら言った。
「そう…」
わたしは灰くんの手を取り、細い指を舌先で舐めた。
「…あっ………瑠美……」
「これでも、そう言える?」
わたしは、舐めていた指を、思い切り噛んだ。
ガリッと音がして、パタパタと真っ赤な血が床に落ちた。
「あ゙ぁっ」
耳に突き刺さるような灰くんの悲鳴。
苦痛に歪んだ美しい顔。
「もっと…もっとよ…。
もっと聞きたい。
もっと見たい。
……その悲鳴…その表情」
剥かれた牙は、愛しい人の全身に突き刺さる。
「あ゙ぁぁ!!!痛ぅ…ぁ゙あ…」
わたしは灰くんの腹部に傍にあった竹刀を振り下ろした。
「あがぁぁ゙アァァっ」
灰くんはお腹を押さえて、辺りをのたうち回った。