愛は時として狂気と化す


灰くんはそっとわたしを抱き締めた。


「瑠美を抱きたい」

「…うん」

「もっと俺を壊してくれる?」

「…うん」



灰くんはそっとわたしのワンピースを脱がせた。



灰くんに抱かれる間


わたしは、灰くんの

肩や鎖骨…手首…首筋を

血が出るほどに噛んだ。


「……っあ…」


灰くんの血と、涙と、汗が

黒い布団に落ちた。


「綺麗……美しいわ…灰くん」



そう言ったとき

貫かれるような感覚が、身体に奔った。




「そう言ってほしかった。

俺を壊しているときの瑠美は
誰よりも綺麗で、誰にも見せたくなかった。

だから、傍にいるんだ。




もっと、俺を壊して……壊れてよ」




耳元で囁いた灰くんの声は


とても妖艶な声色だった。




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