愛は時として狂気と化す
学校にいる間、灰くんは誰とも口を聞かない。


無愛想もあるが、不機嫌そうな顔をしてるため
あまり人が寄り付かない。

まぁ、彼にとっては好都合なのだけど…。


「灰くん、帰るわよ?」


放課後、わたしは教室の隅で窓の外を眺める灰くんに声をかけた。


「あぁ、わかった」

そう言った灰くんは、心なしか、少し嬉しそうに見えた。


家に着くと、わたしたちは二階にある部屋に向かった。


そこは一面黒塗りで、窓は天井に一つだけという、何とも不気味な部屋。

わたしからしたら、凄く魅力的な部屋なのだけど…。


わたしは、大きなベッドの横にある鎖に、灰くんを繋いだ。




首…

足首…

手首…。


重く冷たい鎖が

灰くんの自由を奪う…。



だんだんと…

わたしの心搏が早くなってくる。



灰くんは思うように身動きがとれないにも関わらず


優しく微笑んでいた。






「瑠美…愛しているよ」




灰くんの言葉が


わたしを狂わせ


『わたし』を壊した。








「こ……わ…し…たい……」 





何もかも



すべて



「壊したい」
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