愛は時として狂気と化す
わたしは

ベッドの横にあった竹刀を手に取り


大きく振りかぶった。



灰くんは、特に怯える様子もなく
じっと竹刀を見据えていた。



「その目…

…嫌い」


わたしは、思い切り竹刀を振り下ろした。


ヒュンッと風を切る音がした直後



バシィッ――

と、何かを弾いたような音とともに

灰くんの悲鳴が部屋に響いた。


「あ゙ぁっ!!!」



何度かそれを繰り返していると

灰くんは、ベッドの上に倒れこんだ。


「疲れちゃったの?灰くん。
じゃあ、お茶にしましょうか」


わたしは、部屋にあるキッチンに行き、やかんに水を容れ火に掛けた。


暫らくすると、シューッと音がして、お湯が沸いた。



『これで、何をするつもり?!』


心の中にいる、『わたし』が声を上げた。


「さぁ、何かしらね??フフッ」


わたしは、低く呟いた。


せっかく良いところなんだから
邪魔しないで?

いい子ぶってる『わたし』黙っていてよ。



わたしは、そう心の中で呟くと、やかんを手にして

灰くんのところに戻った。

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