愛は時として狂気と化す
「綺麗だよ…」
灰くんの擦れた声が
耳に届いた。
「瑠美は……綺麗だ…」
顔を上げないまま
灰くんは言った。
「馬鹿ね」
言わなければ
苦しい思いをすることはなかったのに。
ほんとに馬鹿な灰くん。
「…でも…
…そんな馬鹿な灰くん…嫌いじゃないわ。
だから……
もっともっと…壊してあげる」
わたしは
やかんのお湯を全部灰くんにかけ
そのやかんを、灰くんの脇腹に押しつけた。
「ヴぁあ゙ァ゙ッ!!アァッ…」
灰くんは一仕切り叫んだ後
グッタリとなってしまった。
「もう寝ちゃうの?
まだ壊し足りないのに。
しょうがないわね……」
わたしは灰くんの横に座り
目を閉じた。
『まだ満足はしてないけど
身体と灰くん、返してあげるわ』