穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
準備をして出かけようとした時。

玄関へと先に歩いていた孝徳が振り返った。

「咲希、抱きしめてもいい?」

私はびっくりして顔を上げた。

その瞬間、私の返事を聞くことなく、孝徳は私を抱きしめた。

「試験、頑張れよ。咲希ならきっと大丈夫だから・・・」

と、またもらえた安心感。

「うん。ありがとう。ちょっと緊張してたけど、和らいだ」

孝徳を抱きしめ返す。

いつもありがとう。

このままずっとこうしていたい。

「そう?それなら良かった」

ぎゅっと抱きしめてくれた。

「じゃ行こうか」

私を離す孝徳。

離さないで・・・

孝徳を抱き寄せた。

「孝徳・・・」

だいすき・・・

そう言いそうになって、やめてしまった。

「どうした?」

孝徳はもう一度抱きしめてくれた。

「試験終わったら、美味しいパスタ食べたい」

「まかせとけ」

二人でクスッと笑って、今度は同時に離れた。







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