穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
無事に試験終了。

会場を後にし、大学の構内を出口へと向かう。

ふと目線を感じてそちらに目を向けた。

私はその場に立ち止まってしまった。

・・・・・・・・・

何の反応も出来ない。

歩き出すことも近づくことも出来ない。

どうして?

なんで会うの?

会うことはないと思ってた。

「久しぶり」

そう声が聞こえる距離まで近づいて来て、彼は言った。

その彼は峻だった。

「試験受けてるんだ。どうだった?」

私はまだ動けない。

「咲希」

彼に何年ぶりかで名前を呼ばれた。

ああー大好きだった声だ。

「お久しぶりです。お元気ですか?」

意を決して、ゆっくり話し始める。

「元気だよ。咲希は?」

「私も元気です。試験は思ったより出来たかな・・・」

「勉強してるんだな」

「しないとついていけないから」

「仕事?それとも誰か?」

「えっ?」

そう言われて意味がわからなかった。

でも、すぐに気づいた。

そっか、私、ついていきたいと思ってるんだ。

「ついていきたい人がいるのか?」

「います。勉強しないとついていけないから・・・」

「そうか」

「でも峻が教えてくれなかったら、勉強してないかも?」

「そうだな。あの頃、勉強する気なさそうだったしな」

「そうですね。でも教えてくれたら、今の自分があります。ありがとう」

私は峻に今までのお礼が言えた。

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