穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「ついていきたい人は恋人?」

「はい。その予定の人です」

「その予定?」

「私の気持ちを待っていてくれる大切な人」

「そうか。そういう人が居てよかった」

きっと、以前の私の話を笠原さんから聞いていたのだろう。

「峻に今日、会えてよかった。ありがとう」

孝徳に気持ちを伝える前に会えてよかった。

ついていきたい。って思っている気持ちも教えてもらえた。

「俺もよかったよ。お茶でもって誘うとこだけど、やめとく」

峻が社交辞令で言いそうなこと。

「うん。迎えにきてくれてるから」

“恋をしない”って言っていた頃の私は峻に偶然にでも会ったら、また峻を好きになるのだろうと思っていた。それくらい峻のことが好きだった。忘れられない恋だった。

でも今は違う。と、言い切れる。

「そうか。じゃここで。元気でな」

と、峻が笑顔で言ってくれた。

その笑顔が見れたことで、私の忘れられない恋は終わりを告げた。

峻に対して心のどこかであったかもしれない、全てのわだかまりがなくなった瞬間だった。

二人で門まで歩いて、峻は駅に向かい、私は反対方向に歩き始める。

少し離れたところに孝徳の車が止まっていた。

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