穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「あっそれで、咲希のご両親とかってどこにいらっしゃるの?兄弟は?」

今までその話は聞かれたことがなかった。

「両親は海外にいる。父は仕事でほとんど海外、母は私が短大に入るまでは日本にいたけど、入ったらすぐに父の元に行ったわ。で、兄が一人いる」

「海外なんだ。どこ?」

「今はロサンゼルス」

「お兄さんは?」

「兄は実家にいる。本人曰く、この家を守ってるのは俺って言ってるけど・・・」

「ご結婚は?」

「してない。彼女がいるのかどうかわからない」

「あんまり仲良くないの?」

「そういうわけじゃなくて・・・」

うーん・・・説明したくない・・・

「私のしてきたことが気に入らない人なの。だからあんまり連絡取ってない」

「そうなんだ。でも俺は会ってみたい」

と、さらっと言うから私は孝徳を見上げてしまった。

「咲希のご両親にもお兄さんにも会ってみたい。きちんとお付き合いしてます。って言いたい」

「ありがとう。でもまだまだ先でいいんじゃない?」

嬉しいって言葉が最初に出てきた。

でもあえて言わない。

「なんで?」

「なんとなく」

「俺はすぐにでも会って、付き合っていることを認めてもらいたい」

「別に認める認めない関係ないじゃない?子供じゃないんだし・・・」

「そういうことじゃなくて・・・」

「なに?」

「俺の両親に会うのに、咲希の両親に会わないのはフェアじゃない」

「だから大丈夫だって・・・」

「俺を会わせたくないの?」

「違う」

「じゃなに?」

「怒らないで聞いてくれる?」

「内容によるけど?」

と、怒ってない様子でそう言った。
< 128 / 181 >

この作品をシェア

pagetop