穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「短大卒業して暫くしてから同棲したって話したよね?」

「ああ、聞いた」

明らかに不機嫌。声のトーンが低い。

だから説明したくないの・・・

「両親と兄に反対されたの。同棲なんてダメだって、でも反対を押し切って同棲したから、まだ怒ってるの」

「えっ?随分前の話だよね?」

「そうなんだけど・・・元々、私の相手として会うのは一人だけって言われていて、同棲する時も結局会ってはくれなかった」

「じゃご両親はまだ誰にも会ってないの?」

私は頷いた。

誰にも会ってない。

両親も兄も、私の相手として会うのは一人だけってずっと言っていた。

高校生の時から付き合っていた隼人も家に遊びに来たことはなかった。

「じゃすぐに会おう」

と、孝徳が言った。

えっ!?

今の話し聞いてた?

「俺は結婚するなら咲希しかいないから、咲希の相手として会うのは遅かれ早かれ俺が会うのは間違いないよ」

と、自信たっぷりにそう言った。

「えっ?」

結婚するならって・・・

えっ!?

「俺じゃイヤか?」

私は首を横に振る。

私だって・・・

でも・・・

「ごめん。ちょっと急ぎ過ぎかな・・・ゆっくり考えような」

と、私を抱き寄せた。

「うん」

と、私は返事をした。

私の返事を聞くと、安心したのか私から抱き寄せた手を解き、読んでいた本に戻っていった。

ゆっくり考えたい。

そんなに急がなくてもいい。

と、私は思っている。

結婚って・・・

今の私はこうやって穏やかで癒される日々が心地いい。

孝徳と私なら結婚しても変わらないような気もするけど・・・

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