穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「緒方咲希さん?」

帰ろうとビルの外に出た時、声を掛けられた。

「はい?」

誰?

とてもスレンダーと表現するのがいいのか背の高い細身の女性だった。

「驚かせてごめんなさい。私こういう者です」

と、名刺を渡された。

水沢真由美。

有名な商社のブランドマーケティング部の名刺だった。

「私、早川の大学時代からの・・・ドイツから戻って来た時も飲んだんだけど、今度、戻ってくることになったから・・・」

えっ!?

私は顔を上げた。

ドイツ?

えっ!?

「少しお時間いいかしら?」

私は着いていった。

何も考えずに着いていった。

そして、彼女、水沢真由美さんの言うことを全て鵜呑みにした。
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