穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
土曜日

ドライブは少し遠出の湖。

新緑がきれいでいい季節。

助手席で新緑を楽しみながら音楽を掛け、二人で他愛ない話をする。

なんかこういうの久しぶり。

ドライブなんていつぶりだろう?

「どうした?」

急に静かになった私が気になったのか孝徳は私を一瞬見て、そう言った。

「ん・・・ドライブなんて久しぶりだなぁ~って考えてたの。いつぶりかなぁーって」

あっあんまり余計なことを言わないでおこう。

行ったのはきっと加奈子曰く”あいつ”のあの人だ。

「俺は本社異動まで車通勤だったから、帰りとかによく走らせた」

孝徳はうまく話題を自分にもっていったのだろう。

「帰り?」

「そう。なんか行き詰まってストレス解消みたいなもんかな。通勤に歩かなくなかったからその代わり」

「そうなんだ。あれっ?通勤に歩かなくなったって・・・どこに住んでたの?」

「住谷に入って今のところにずっと住んでるよ」

「そうなの?1年目は本社にいたんでしょう?」

「営業本部ね」

「えっ?通勤ルートって異動になってから替えた?」

私も住谷に入って3年同じところに住んでる。

「替えてないよ」

「えっ?じゃ1年目は?」

「今と一緒。ちなみに咲希のことは1年目から知ってたよ」

「そうなの?びっくり。なんの接点もなかったよね?」

「なかったけど、咲希がいつも同じ時間にマンションを出てたし、同じ会社に入っていく人って認識はしてたよ」

「そうなんだ。知らなかった。私はもちろん、孝徳のことは知ってたよ。割と有名だったし」

「有名?」

「そう。将来の幹部候補」

「なにそれ?」

「なにそれって言われても・・・それにしても営業所に移動になった時に引越し考えなかったの?」

将来の所長ってことなら引越しを考えてもおかしくない。

「本社に戻るつもりだったし」

「そうなの?将来の所長じゃなかったの?」

「そんな話もあったけど、1年って決めてた」

「決めてたって・・・」

「将来の所長を育てて、俺は本社に戻るってね」

「考えてることが違いすぎる」

「そう?」

孝徳っていつも何を考えてるんだろう?






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