穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「でもね、私、別れを受け入れられなかったの・・・別れの一言だと気付けなかった。一人になりたいっていつまで?って思ってた。3日くらい?一週間?一カ月?すぐに元に戻ると思ってた。で、私は『待ってる』って言ったの。ちゃんと別れないといけないってわかってたのに・・・出来なかった」

どうして受け入れられなかったのか・・・今でもわからない。

「彼はね、優しくて、その優しさは私の心を離さなかった。別れを言われた後に前から約束していた初詣と私の誕生日をお祝いしてくれた。そんなことしたら期待するよね。いつになったら戻るのかってそればっかり考えてた。優しかった彼は電話にも出てくれたし、メールにも返信してくれた。忘れることなんて出来ないよね。勘違いはいつまでも続くの。ホントに少し離れたいだけだったんじゃないかって都合のいいように全てを変換した」

彼はどんなふうに思ってたんだろう・・・

「変換してしまった私は酷かった。どれだけ彼を傷つけたんだろう?いつの間にか彼は私の連絡に反応しなくなった。やっとそれで忘れなきゃならないって気づいた・・・でも電話もメールもした。そんな状態はどのくらいだったのかわからない。いくらしても連絡くれないけど、会社では仕事上は付き合いがあって、このままじゃダメだと思って、私は派遣社員だったから自ら更新せずに会社を辞めた」

ふぅー

「それからは?」

「一度も会ってない。性懲りもなく彼の誕生日にメールしてたけどね」

「まだ好きなんだ」

「そうじゃないの。そうじゃない・・・そうじゃないの・・・」

そうじゃない・・・

孝徳は車を路肩に止めた。

そして、シートベルトを外して、「おいで」って手を広げた。

私はシートベルトを外して、孝徳に抱きしめてもらった。

「泣きたいなら泣いていいよ」

「ありがとう。少しこのままいて・・・」

そうじゃない・・・そうじゃない・・・

でも暫く恋はしない。

あの頃の自分はもう二度と見たくない。

また同じようなことが起こったら耐えられない。

恋はしない・・・















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