穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「咲希……」

何も言わない私を不思議に思ったのか名前を呼んだ。

「あっごめん。ちょっと考えちゃった」

「なに?」

何かあるなら言ってって感じで孝徳は聞いた。

「孝徳は……話をさせて申し訳ないって思ってる?」

「えっ?」

孝徳は私への手を少し緩めた。

「なんでそんなに優しいのかと思って……明日も休みだし、私を一人にしたくないからでしょう?」

泊まろうって言ったのはきっとそういう理由だ。

「お酒飲みたくなったんだよ」

「私のこと心配してるんでしょう?」

「……一人にしたくないよ。咲希は一人になったら、二人のことをひたすら考えて、私が全て悪いって自分を責めるんだろう?」

「だって事実でしょう?」

「歯車が狂ったって言ってたろう?」

確かに言った。歯車を私が狂わせた。

「歯車は一人で狂わせたわけじゃないだろう?お互いに言葉が足りなかったり、信じる信じないも一人じゃないだろう?まっ歩みよらない俺が言っても説得力ないけどさ」

そう言って、孝徳は手を解いて、私の頭に手を置いた。

「自分を責めるな」

私は抱きしめられてる間、泣かなかった。

でも………涙が溢れ出した。

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