穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「隣の席の緒方咲希さん」

私はそう紹介された。

「こっちは俺の高校時代からの友達で、栗原竜二と小泉麻里子」

「隣の席?お前、彼女はどうしたよ?」

「今はいない」

「もしかして、無理やり連れて来られた?」

私は頷いた。

「ありえない・・・そんなこいつの友達です。よろしく」

と、栗原竜二さんが挨拶してくれた。

「初めまして、無理やりかもだけど何かの縁だしよろしく」

小泉麻里子さんは素敵な笑顔で私に微笑みかけてくれた。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

「ちょっと、孝徳。彼女を紹介しろって言ったでしょう?」

「だから今はいない。こっちにきてそんな暇ない」

「向こうには居たんでしょう?」

「彼女はいなかった」

「相変わらず遊んでるの?」

「相変わらずってなんだよ。人を遊び人みたいに言うな」

「遊び人でしょう?」

「まぁまぁ麻里子も落ち着いて、孝徳にもなんか事情があるんだろうし・・・」

「なによ。事情って・・・」

「それより、咲希ちゃんはいくつ?」

「早速馴れ馴れしいな、お前は」

「普通だろう?なっ」

と、隣の麻里子さんに同意を求める。

「咲希ちゃんって呼んでも大丈夫?」

「大丈夫です。なんなら咲希って呼んで頂いてもいいですよ」

なんか悪い人達ではなさそう。

「そう?じゃ咲希って呼んじゃおうかな。私は麻里子でいいから」

「いいんですか?じゃ麻里子で」

「いくつ?私達は同級生だから30ね」

「私も30になりました」

「えっ同い年?」

と、早川さんが私の顔を覗き込んで言った。

「そうですよ」

「お前、誘う前にそういうリサーチしとけよ」

「そうなんだ。年上だと思ってた」

「その割には隣のよしみって誘ったのに?年上に対しての誘い方ではなかった気がするけど?」

「確かにね」

認めるんだ。

「それにしても早川さんが遊び人だとは知りませんでした」

「いやいや違うから・・・」

「会社の孝徳ってどんな感じ?」

「管理本部に異動になって日は浅いのに、存在感はありますね」

「へぇ~さすがだなぁ」

「大変だよ。色々と・・・」

同級生の3人と隣の席のよしみで連れて来られた私との4人での飲み会は割と楽しく盛り上がった。

竜二さんと麻里子さんは高校時代から付き合っていて同棲しているらしい。

でも結婚はまだとのこと。

それ以上は聞かなったけど、理由があるのだろう。

早川さんは会社ではクールなイメージだけど、二人といるときっと自然なのだろう男の子って感じがした。






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