穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「あっ咲希に代わる?・・・わかった。伝えとく」

電話は切られたようだ。

孝徳はスマホを私に渡す。

「加奈子なんて?」

「明日、ランチね。って」

「それだけ?」

私は孝徳との会話が気になるんだけど・・・

「森さんは咲希が心配なんだよ。ただそれだけ。俺に対しては咲希を傷つけないでって。そう言いたいの」

「そうなの?」

「そうだよ。咲希はいい友達がいるね」

そう言われて嬉しくなった。

加奈子は“親友”だ。

「森さんと咲希って昔からの知り合い?」

そう言えば話してなかったかな。

「短大の時からなの。加奈子は新卒で住谷に入ってるから」

「近藤さんと同期なんだろう?」

「そうなの。なんか弱味握ってるらしいよ。近藤さんの方が大卒で年上なのにね」

「きっといい関係なんだよ。なんで咲希は住谷に応募したの」

「・・・・・・言わなきゃダメ?」

「そう言われると余計気になる」

「経理の仕事にだけ拘って、業種とか特に気にせずだった」

派遣の仕事辞めて、仕事探さないといけなくて必死の割には経理の仕事に拘っていた。

「なるほど。でも経理に拘って入れたんだから良かったな」

「うん。ホントに良かったよ。孝徳は?」

「俺は元々誘われたんだ」

「やっぱりそうなの?そんな噂立ってた」

「でもちゃんと中途採用の書類選考は通ったから」

「そうなんだ。誰に誘われたの?」

「専務」

「専務って社長の息子だよね?」

「そう。近所に住んでた幼なじみで、兄貴みたいな人だから」

「そうなんだ。誘われたってどんなふうに?聞いても大丈夫?」

「一緒に会社経営してみないか?って」

「えっ?」

「酒に酔ってね。俺はそれを本気にしたんだけどね」

「経営に興味があるの?」

「あるかないかって聞かれたら、あるね」

「そうなんだ。孝徳なら出来そうだもんね」

「そう?まっこれからだよ。だから仕事も頑張るよ」

「も?仕事も?」

「そう。仕事以外にも色々あるからね」

「意味あり気だね」

「そうかぁ?とりあえず今は”友達以上恋人未満”の咲希を大切にするよ」

ほらっまたそんなことさらっと言う・・・


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