穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「咲希が恋人未満って言うならそれでいいと思う。咲希にはそういう期間が必要だと思うから」

私も“友達以上恋人未満”の期間は必要だと思う。

「昨日、今も一緒って写真来た時、展開が早いと思って、咲希に聞くよりは早川さんにっと思って電話を代わってもらった。もう付き合い始めたの?って聞いたら考えすぎって言われた。咲希を傷つけないでって言ったの。それだけよ。で、ドライブどうだった?」

孝徳が言った通り、加奈子は心配してくれてるんだ。

パスタランチが運ばれてきた。

「緑と湖に癒された。楽しかったし、話したくなって帰りに隼人と峻の話をした」

峻は加奈子曰わく“あいつ”のこと。

食べていた加奈子は驚いたように顔を上げた。

「えっ?それで早川さんはなんて?」

「自分を責めるなって言ってくれた。一人にしたくないからって言われて、夜も一緒だった」

「なるほどね。それで彼と過ごしてみてどうだったの?」

「昨日はまったりして自分の家かと思うくらいリラックスしてた。孝徳の本棚に読みたい小説とかビジネス書があって読んでいいって言ってくれたから、読んでた」

「咲希は読書好きだもんね。早川さんは何をしてたの?」

「孝徳はパソコンに向かってなんかしてた。仕事だったのかな・・・聞かなかったけど」

「そう。なんか始まりそうで良かった」

「始まる?割りと読んでる本が似ててね。同じ空間にいて穏やかな時間が流れて、癒される感じがした」

「間違いないわね」

そう言うとパスタを美味しいって言いながら食べていた。

何が始まるの?

何が間違いないの?

その言葉が何を意味してるかぐらいはわかる。

でもあえて言わない。


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