穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
お店はチェーン店ではない居酒屋だった。

デートに来るにはいい感じのお店。

予約名を伝えて案内されたのは座敷の個室だった。

ゆっくり落ち着いて飲めそうな場所。

お姉さんが奥に座り、私は孝徳に奥を進める。

「いいのいいの。私の向かいに咲希ちゃん座って」

そう言われて奥にお姉さんと私、出入口に近い方に男性陣が腰を下ろした。

専務なのにいいの?

「緒方さんは飲める?」

メニューを見ながら専務が私に問い掛ける。

「はい。割と好きです」

「それなら良かった。まずはビールでいいよね。適当に注文するね」

お姉さんと孝徳もメニューを見ることなく、注文は専務が一人でする。

「気にしなくていいわよ。こうだいはこういうの好きだから」

私がその様子を見ていると、お姉さんがそう言う。

お姉さんもこうだいって言うんだ。

「私たちが飲む時は完全にこうだいが仕切るから。メニューを見るのは飲み物頼む時くらい。これが食べたいって時に食べたい物が出てくる感じよ」

「それはこうだいさんが姉貴に仕込まれてるんだろう?」

「失礼ね」

「俺が優美の好みを把握したいの」

注文を終えた専務が会話に入って来た。

で、お姉さんの顔を除き込んだ。

そう言われたお姉さんがとても可愛い。

「はいはい。こうだいさんわかってる?いちよ専務だからね?」

と、孝徳に取ったらいつものことなのだろう。

専務は孝徳を見てこう言った。

「わかってるけど、優美と孝徳と孝徳の大切な人が居て専務じゃないよ」

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