穏やかと癒し・・・ときどき、あい・・・
「そう言えば、咲希って住谷の由来知ってる?」

と、1時間くらいで行ける緑と水辺に向かって車を走らせ、コンビニで飲み物を買って車が再び発信した頃に孝徳が言った。

「住谷の由来?聞いたことあったかなぁ?」

「金融機関とかに説明する為の取ってつけたみたいな由来はあるんだけど、本当の意味」

「本当の意味?」

「住谷っておじさん、社長が作った会社なんだけどね。それにうちの親父も関わっていたらしい」

「そうなの?」

「そっ。でもはっきりとした理由はわかならないけど、結局、社長と他の仲間で作ることになって、会社名をって時にね。社長の奥さんのかすみのすみと社長のひろやのやから"すみや"って。でもこれには他に意味があってね。俺のお袋と親父の名前も入ってるの。社長夫婦のって言うより親父達の名前から取ったってことらしい。一緒なんだけどね」

「そうなんだ。お話ししたら色んなお話し聞けそうね」

と、ただあまり何も考えなく言った言葉だった。

「また親父達に会う?」

って意味あり気にこちらに顔を向け、また前を向き直した。

「えっ?」

と、孝徳を見るとニヤッとした顔をしていた。

「咲希が会いたいって言うなら、いつでもセッティングするよ。親父達もきっと喜ぶ」

「・・・・・・・」

私をどう説明するの?

"友達以上恋人未満"って言うの?

そんな人を両親に会わせたりしないでしょう?

「咲希、俺ね。外堀から埋めようとしてるからね。逃げるなら今のうち」

「えっ?」

「もう逃げられないけどね」

孝徳がいつもより意地悪な感じで私に伝えてくる。

ねぇ孝徳・・・

< 84 / 181 >

この作品をシェア

pagetop