星月夜


翌朝、目を覚ますと滝沢先輩の姿はなかった


私はきちんと服を身につけて居て、昨日の出来事は夢だったのかも知れないと思った



けれど、ローテーブルの上に置かれた滝沢先輩の携帯番号とアドレスが昨日確かに先輩がここに居たことを物語っていた


そして決定的だったのは、お風呂に入ろうと服を脱ぎ捨てた時……



身体の至るところに刻み込まれて赤い華……先輩が付けたキスマーク



やっぱり昨日……私は先輩に抱かれたんだ




私の事を好きでもない人に抱かれた事実


嫌だと思う処か、そのキスマークがとても愛しく思えて何度も撫でた




私……好き、なのかな?






確かに先輩に抱かれた事は突然で驚きはしたけど、嫌ではなかった



むしろその温もりを求めて縋り付きたくなった




滝沢先輩の中は暖かくて、その温もりに包まれて久しぶりに深い眠りにつく事が出来たのだ




けれど、きっと滝沢先輩は違う


私とは違うんだ




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