星月夜
結局、ママと二人の旅行はパパとママのラブラブ旅行に変わってしまい、私は2泊3日をほとんど旅館で過ごした
「七瀬、あなた本当にいいの?」
パパの車でマンションの下まで送って貰い別れ際に私はパパから封筒を渡された
助手席から聞こえるのは心配そうなママの声
「うん、もういいの!私は大丈夫だから心配しないで」
「でも……」
何度大丈夫だと言ってもママは心配そうな顔をするから、パパに『本当に大丈夫だから』と言って車を出して貰った
パパから貰った封筒の中には写真とプロフィールの書かれた紙が入っている
紙にはその人の経歴や趣味など事細かに書かれてあった
紙を見ながら歩いていた私は部屋の前に立つ人物に気付く事なく歩み寄った
視線を上げないまま紙を写真に挟みバッグから鍵を取り出そうとした時、突然目の前に影が出来て慌てて顔を上げた
「七瀬、話しがある」
私の前に立ちはだかった彼は私を見下ろしながらそう言った