星月夜


マンションのすぐ隣にコインランドリーがあり滝沢先輩の濡れた服を中に突っ込む


うちには洗濯機はあっても乾燥機まではついてないから


「…スーツじゃなくて良かった」


ぐるぐる回る洗濯物を眺めながら部屋に居る滝沢先輩の事を考える


今更どうやって彼に向き合えばいいのかわからない


出来れば何も言わずにこのまま帰って欲しい



乾燥機が止まったのを確認し服を畳んで部屋に戻ると、タオルを腰に巻いたままローテーブルの前に座る先輩の姿が目に入りドキッとする


この間は暗くて先輩の身体なんか見れなかったから先輩の裸を見るのは初めてだった



なるべく視線を合わせない様に服を渡す



先輩の手に握られていたのは置きっぱなしのお見合い写真だった


「風邪ひきますから着替えて来て下さい」


私は先輩の手から写真を奪おうとすると、その手を掴まれ強く引かれ先輩の肌に顔を埋める事になってしまった


服越しでも恥ずかしいのに素肌はヤバイでしょ!


緊張するし…


離れようと先輩の胸を押し返そうと力を込めると、逆に力を強められる


さて、困った………






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