星月夜
「悪ぃ…。俺が今日来た理由はそんなんじゃなくて……お前がさ、誤解してるみたいだったから」
「……誤解?」
私は滝沢先輩の話しを聞きつつ冷凍庫に向かう。中から保冷剤を取りだすとタオルを巻いて滝沢先輩の手に当てた
どれだけ強く殴ったのか、滝沢先輩の手の甲は赤く腫れていた
「瞬の事だよ……。アイツはお前を裏切って死んだ訳じゃない。その誤解を解いたらお前も少しは楽になれるんじゃないか、って思ってさ…」
誤解?
瞬は私を裏切ってなかったって事?
けど、今更それを知ってどうするの?
それを聞いたら私は前に進める?
本当に本当に進める?
私が不安で瞳を揺るがせた事に気付いた滝沢先輩は私の顔を覗き込む様にして
「どうする?聞くか?止めるか?」
そう言った
本当の事を知るのはまだ怖い
けれど、前に進めるのなら……
「教えて下さい」