星月夜

孤独な彼女



「これ」


そう言われ滝沢先輩から受け取った物は……


見たことないシルバーの指輪


「瞬の母親から預かった。お前に渡して欲しいって……」



そう言われて受け取った指輪はどう見ても見覚えがない



「……これ、私に?」



指輪と滝沢先輩の顔を交互に見詰めてると先輩は小さく頷く



「あの事故があった日、瞬はお前にそれ渡すはずだったんだ」

「……え?」


あの日って事は…
誕生日プレゼントって事?



「それ渡してプロポーズするんだ、って言ってた」




ぷ…プロポーズ?!


瞬が?私に!?



「…嘘でしょ?たまたま誕生日プレゼントが指輪だからって……滝沢先輩が考えたジョーク?」


私は笑って指輪を先輩に突き返そうとする


今更、こんなもの貰っても困る


「いや、瞬は確かに俺にそう言ってた。まぁ直ぐに結婚は無理だからとりあえず予約、って事でって笑ってな」



「…………」



滝沢先輩に受け取って貰えず行き場を無くした指輪が私の手に残る



指輪…

この指輪を、瞬が……?




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