星月夜


「何度も諦めようと思った。でも、お前ちゃんと笑えてないのに諦められる訳ねーじゃん…。

けどあの日、瞬がお前にプロポーズするつもりだって聞いて…もう俺の出る幕ないのかなって思って、スパッと諦めてカメラの道に進もうと思ったんだ……。
美鈴にその事伝えたのが、あの事故に会う前の日だった。



私が居なければ滝沢先輩はカメラの道を進めてたのに


滝沢先輩の将来を壊したのは私?
才能を踏みにじったのは私なの?

私はいつも自分だけが苦しい想いをしてるんだって思ってたのかも知れない


こうやって滝沢先輩も瞬も美鈴先輩も皆辛い想いを抱えていたのに……




「美鈴は俺が別れようと決めた原因に気付いてたし、その上瞬までお前に取られて……一人になると思ったんだろうな。アイツ寂しがり屋だったから。
けど、アイツはお前の事ちゃんと認めてたよ。だから、あれが美鈴の最後の抵抗だったのかもな」



美鈴の孤独を分かってあげられるのは瞬だけだった




滝沢先輩はそう呟いた




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