星月夜
滝沢先輩は私の横に立つと花とタバコとビールをお墓に供え静かに手を合わせた
その後、供えたタバコから2本取り出すと火を付け、1本は瞬にもう1本は自分で吸いはじめた
「瞬がな、言ってたんだよ」
“七瀬はすぐ不安そうな顔するくせに、真っ直ぐな瞳で俺を見てくるんだ。全身で俺の事好きだって叫んでるみたいでそこが可愛いんだ”
「瞬がそんな事……」
「お前が思ってる以上に瞬はお前の事ちゃんと見てたよ。ちゃんとお前の事好きだった」
「……っ…本……当……?」
本当に私、瞬に愛されてたの?
涙を見られない様に俯いたままの私の前に影が出来る
「七瀬、一緒に暮らさないか?」
滝沢先輩はそう言って私をそっと抱きしめた
「あんな家にお前を一人置いときたくないんだ。俺の傍に居て欲しい」
滝沢先輩の腕にギュッと力がこもる
抱きしめられているのは腕のはずなのに、もっと深い……その奥に隠されてる胸がギュッと音を立てて締め付けられる
私は滝沢先輩のその優しい手に縋る事も出来ず、ただその場に縫い付けられたかのように立ち尽くしていた