星月夜
普段は違うタバコを吸ってる滝沢先輩の身体からは、瞬のタバコの匂いがする
それだけでクラクラして、判断力が鈍ってるように思う
私が何も言えずに居ると滝沢先輩は私を抱きしめる力を少しだけ緩め私の頭の上に顎を乗せた
「きっと、お前が瞬の事思い出すたび俺は瞬に嫉妬するんだろうな。けど、それは過ごしてきた年月が違うんだ。瞬と過ごした5年以上にこの先5年10年と二人で過ごしたら瞬以上に好きになってくれるんじゃないか、って期待してんだけど」
5年…10年…
それまで先輩は私と一緒に居てくれるの?
「私、先輩の事……好き、だと思う。けど自信がないの」
「自信?」
先輩は私の頭から顎を外すと俯いてる私の顔を覗き込もうと顔を近付けてきた
「幸せになる……先輩を幸せにしてあげられる……自信がない」
滝沢先輩の目は直視出来なかったけどふっと表情が緩んだのが分かった
「なんだ。そんな自信いらねぇよ。だってお前を幸せに出来るのは俺だけだ。そして俺を幸せに出来るのも、お前だけだ」
どんな根拠があってそう断言するのか分からないけど
滝沢先輩がそう言うならそうなんだろうと
不思議とそう思えた