星月夜
瞬の彼女を見たのは、美鈴から報告を受けた翌日だった
一目見てすぐにあの時の女の子だと気付いたが
けど、その時にはなんの感情も芽生えず
ただ美鈴の言った通り可愛い子だなぁとしか思わなかった
そして美鈴とは違ったタイプの女の子だ、と
遠目で見る彼女はとても楽しそうに笑う子だと思った
その笑顔の変化に気付いたのは自分でも驚きだった
それだけ彼女を見てたって事だ
「ちょっと!何か言いなよ!」
裏庭で昼寝をしていた俺に女の金切り声が聞こえてきた
チッ うっせぇなー
ケンカなら他所でやれよ
「何であんたが佐伯くんの彼女なのよ?」
「私たちなんてずっと佐伯くんの事好きだったんだから」
「後から出てきた癖に調子乗ってんじゃないよ!」
……佐伯……
佐伯の彼女って事は…あの子か
「さっさと別れなさいよね?」
声の方へ足を向けると
数人の女が一人を囲んでいた
背が低くて誰かは見えなかったが
近づくとすぐに彼女だと分かる
「その子になんか様?話しなら俺が代わりに聞くけど?」