星月夜
どうしてそんな行動に出たのかは分からない
例えば、これが全く知らない女なら助けはしなかった
例えば、これが瞬の彼女じゃなければ興味も示さなかった
例えば、瞬の彼女がこの子じゃなければ――――…
いや、そんなはずはない
彼女が瞬の“彼女”だからだ
大切な親友の………彼女だから
彼女を囲んでた女たちは俺の姿を見て逃げて行った
背中に集中する意識
俺のシャツを握る彼女の手は、微かに震えていた
「……ごめっ……さい、……り…がと」
彼女が落ち着くまで背中をポンポンと優しく叩く
本当はその小さな身体を俺の腕で抱き締めてい衝動を必死で抑えてたなんて
言えなかった
「……本当は…、分かってるんです」
落ち着いた彼女はそう呟いた
「え?」
「瞬也先輩の彼女に……相応しくないって……分かってる。でも、好きなんです。
瞬也先輩が他の人を想っていても……好きなんです」
彼女は知っていた
瞬が美鈴を好きだと言う事を