星月夜
「あの~ぉ…」
私を抱き締めたまま微動だにしない先輩に背中を向けたまま話しかける
「……送ってくから」
やっと先輩に解放されほっとしたのも束の間…
「いや!大丈夫です!一人で帰れますから!」
これ以上先輩と一緒に居るのは嫌だ!
「一人で帰す訳にいかないだろ?それに………その格好で帰るつもりか?」
そう指摘されゆっくりと視線を下ろす
「うわぁぁ!」
私、先輩の服のままじゃん!
しかも明らかにサイズの合ってないTシャツとハーフパンツ
危なくこの格好で外に出る所だった
とりあえずクリーニングから戻って来た服を先輩から受け取る
そして洗面所のある部屋で着替えを済ませリビングに戻ると
スーツから私服に着替えた先輩が立っていた
「忘れものは?」
「…ないです」
「じゃぁ行くぞ」
そう言ってキーケースを持って私の背中を押した