星月夜


車から降りて無言のまま滝沢先輩の後ろをくっついて行く


このまま逃げれたらどんなにいいか!



滝沢先輩はウエイトレスさんに禁煙席を指定して中に入った



あれ……?
先輩って確かいつも喫煙席に居たよね?


タバコも吸ってたし


「喫煙席じゃなくて良かったんですか?」


「お前が居るのにタバコ吸えるわけないだろ」



ぶっきらぼうにそう言うと私の背中を軽く押して席に座らせた



何、その紳士的な態度!!


先輩っていつもこうやって女の子口説いてたりするのかな


全く想像出来ないんだけど




思わずぷっと笑いそうになるのを堪えてると、それに気付いた滝沢先輩はメニュー表の角で私の頭を叩いた


「痛っ!!」


「ニヤニヤしてないで早く決めろ!俺は腹減ってんだよ」


「お腹減ってイライラするなんて小学生並みですね」


先輩に聞こえないくらい小さな声で呟いたはずなのに、しっかり先輩の耳に届いたらしくもう1冊のメニュー表を持ち出したので私は慌てて持っていたメニュー表で頭をガードした



先輩は軽く舌打ちした後持ってたメニュー表を広げる



本当子どもみたい



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