星月夜


「片岡ちゃん、来てるわよ。例のカ・レ」


初めて滝沢先輩を見た日からお気に入りになった水野さんが、休憩から戻った私にわざわざ教えに来てくれた


高校の先輩だと紹介したはずなのに水野さんは私と滝沢先輩との仲を疑ってるみたいだ


水野さんの視線を辿って店内を見渡すと、今日も喫煙席に座って書類を見ながらタバコを吸う滝沢先輩の姿があった


近くに座ってる学生らしき女の子たちがチラチラと視線を追ってるのが分かる



滝沢先輩は高校の時密かにファンクラブがあったくらいだ。
美鈴先輩の存在があったから大っぴらに活動する事はなかったみたいだけど…。


瞬も同様にファンクラブがあったんだけど、私はたまに嫌がらせ受けてたりしたんだよね


美鈴先輩は二人と幼なじみだから仕方ないけど、後から入ってきた私が瞬や滝沢先輩と仲良いのは許せないって理由で


それも瞬にバレてファンクラブは解散させられた



でも、そのお陰で瞬は前以上に私と一緒に居てくれる様になったし、ちょっとは感謝してたりして



「ほら、片岡ちゃん。呼んでるよ~」


ぼーっとする私の背中を水野さんが叩いた


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