星月夜
呆然と立つ先輩を狭い入り口から押し退け部屋の中に入る
はぁ、ちょっと疲れたかも……
あ、でも先輩にお茶とか出した方がいいのかな?一応お客様だし……呼んでないけどね。
「先輩、何か飲みますか?お茶かコーヒーしかありませんけど」
まだ入り口に立ったまま部屋の中をキョロキョロしてる先輩を無視してキッチンへ向かう
「いや、いい。それより体温計どこだ?」
「へ…?体温計?先輩熱でもあるんですか?」
もしかして体調悪いとか?
なのに私を送ってくれたんだとしたら申し訳なさすぎる
「うち体温計ないんです。計るなら自分の家に帰ってお願いします」
さすがに今日は他人の看病する程体力残ってないし
「ばか、かお前は。熱があるのはお前だろ?薬局行ってくるからお前は寝てろ」
滝沢先輩に腕を掴まれ無理矢理ベッドまで連れて行かれた
「大丈夫ですよ!寝てれば治りますから。先輩まだ仕事中でしょ?もう行って下さい!」
「黙って寝てろよ。すぐ戻ってくるから」
私の言葉には耳を貸さず先輩は私の部屋の鍵を持って部屋を出て行った