星月夜
片付けが終わり帰るのかと思われた先輩は、再びテーブルの前に座りパソコンを開いた
「……?あの、帰らないんですか?」
「ん?あぁ、熱が下がるまで泊まる。心配するな、着替えも取って来たし、明日はこっから出勤するよ」
いや、誰もそこ心配してませんけど?
そう言えばさっさまでスーツ姿だった先輩が私服になってた事に今まで全く気付かなかった。
って!そんな事じゃなくて!
「泊まるって何で!?無理です、一人で大丈夫なんでもう帰って下さい!」
「は?断る。熱あんのに一人にさせる訳ないだろ?夜中熱上がったらどうすんだ!」
「大丈夫ですから!それに家布団とかないですから寝るとこないし……」
私は何とか帰って貰おうと滝沢先輩に抗うが、滝沢先輩は頑として譲らない
とうとう根負けした私は、クローゼットの中にある予備のタオルケットの毛布を取り出した
何もないよりはマシだろう…。
再びベッドに戻りしばらくはパソコンと書類を交互に覗き込む先輩の仕事風景をぼんやり眺めていた