星月夜

「あー腹減ったなぁ~。何か食いに行くか?」


「あっ!!」


滝沢先輩に言われ当初の予定をやっと思い出す


キッチンの上に置きっぱなしのビニール袋に視線を送ると、それに気付いた先輩も視線を移す


「何?買い物してきたの?もしかして何か作ってくれる予定だったとか?」


そう言って袋の中を覗き込む


「……の予定だったんですけど、帰って来たら疲れて寝ちゃいました」


へへへッと苦笑いを漏らすとそれにつられたように滝沢先輩の顔も綻ぶ


「で?何を作る予定だったんだ?」


「えっと…鯖みそと煮物を……」


どっちもパパの大好きな料理だったから、ママのお手伝いをしていて自然に覚えた料理


裏を返せば………それくらいしか作れない。



「オッケー。七瀬は座ってな!俺が作ってやるよ」



そう言って先輩は上着を脱ぎネクタイを外して私に手渡す


ワイシャツの袖を捲り準備万端だ



「あのっ!先輩仕事で疲れてるんだし、私が作ります!」



「良いって!七瀬は座ってテレビでも見てな?」



結局、滝沢先輩は手伝う事も許してくれずあっという間に料理を仕上げたのだった







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