星月夜
「実は俺もH大なんだ…。大学で見掛けた事があったから」
気まずそうに言う蜂谷くん
その理由も知ってる
私が大学に行ってたのは去年までの話し
あの頃は―――まだ瞬が生きてた
蜂谷くんは私と同い年だから、大学で見掛けたと言うなら私と瞬の関係を知る人
瞬の“彼女”で、他の女の人と一緒に死んでしまった男の可哀想な彼女
それが当時、大学中の噂となって広がっていた
瞬は有名だったから……
「大学で見掛けた時からずっと可愛いなって思ってたんだ。けど、佐伯さんと付き合ってたし諦め様と思ってた」
私の頭には蜂谷くんの話しなんか入って来なかった
きっと無意識のうちに拒んでたのかも
「……まだ、忘れられない?」
忘れるって何を?
忘れる必要があるの?
「好きなんだ。片岡ちゃんの事ずっと好きだった。
佐伯さんの噂聞いて、片岡ちゃん学校来なくなってからずっと気になってて…けど、バイト先で再会出来た時すげぇ嬉しかったんだ。佐伯さんの事忘れなくてもいいよ!俺と………」
「はい、ストーーップ」
突然背後から肩を掴まれ私の身体は後ろに倒れた