星月夜
「朝になったら、瞬の居ない現実を突き付けられて……瞬は居ないのに……何処にも居ないのに……何でこんなに苦しめられてるの?」
私だって……幸せになりたいんだよ
滝沢先輩が私の知らない人と幸せになっていく様に
私だって……幸せになりたい
「こんなに苦しいなら……好きになんかなるんじゃなかった。」
違う
そんな事思ってないのに
「会わなきゃ良かった……」
そんな事言いたくないのに
「瞬にも美鈴先輩にも……滝沢先輩にも!会いたくなかった!」
―――そう言い終えた時、私の左頬に痛みが走った
「………」
目の前には痛みを与えた張本人、滝沢先輩が悲痛な表情で立っていた
「会わなきゃ良かったなんて言うなよ……。それ、聞いたら瞬が悲しむ……」
私はヒリヒリ痛む左頬を押さえながらギュッと唇を噛み締めた
「……悲しむ訳ないじゃない。私が居なきゃ、瞬は美鈴先輩と幸せになれた」
今だって
まだ生きてたかも知れないのに
「もう……私に構わないで……」