大和の風を感じて~運命に導かれた少女~【大和3部作シリーズ第1弾】
住吉仲皇子の側近であった阿曇浜子の命令で、後を追った淡路の野島の海人らは、去来穂別皇子に捕らえられてしまった。
また住吉仲皇子の味方にいた倭直吾子籠も、去来穂別の兵に恐れをなし、妹の日之媛を献上して許された。
こうして、住吉仲皇子は孤立していった。
その事を知った瑞歯別皇子は、住吉仲皇子近習の隼人である刺領巾に近付いた。
「刺領巾、去来穂別皇子は住吉仲皇子を討つようにと仰せだ」
「やはり皇子はそのお考えか」
刺領巾は自分もこのまま殺されてしまうのかと思った。
だが瑞歯別皇子は、意外な提案を彼に持ちかけた。
「住吉仲皇子を討つのなら、彼の近場にいる者が殺すのが手っ取り早い。そこでお前に兄上を殺してもらいたい」
「私に住吉仲皇子を殺せと」
「さよう。さらに兄上を殺した暁には、お前を大臣にしてやってもよい。
どうだ、お前にとっても悪くない話しだろう」
刺領巾は無言で考えた。
恐らく断れば今この場で自分は殺されてもおかしくない。
であれば、この話しにのれば命が助かる上に、大臣の役にもつける……
「分かりました。住吉仲皇子は私が討ちましょう」
刺領巾は自らが皇子を殺す事を、瑞歯別皇子に誓った。
「そうか、やってくれるか」
瑞歯別皇子はそれを聞くと、出来るだけ早くに実行するよう伝えて、彼の側を離れた。
「住吉仲皇子、済まない。そうしなければ私が殺されてしまう」
刺領巾は、今尚孤立している住吉仲皇子が哀れに思えて仕方なかった。
また住吉仲皇子の味方にいた倭直吾子籠も、去来穂別の兵に恐れをなし、妹の日之媛を献上して許された。
こうして、住吉仲皇子は孤立していった。
その事を知った瑞歯別皇子は、住吉仲皇子近習の隼人である刺領巾に近付いた。
「刺領巾、去来穂別皇子は住吉仲皇子を討つようにと仰せだ」
「やはり皇子はそのお考えか」
刺領巾は自分もこのまま殺されてしまうのかと思った。
だが瑞歯別皇子は、意外な提案を彼に持ちかけた。
「住吉仲皇子を討つのなら、彼の近場にいる者が殺すのが手っ取り早い。そこでお前に兄上を殺してもらいたい」
「私に住吉仲皇子を殺せと」
「さよう。さらに兄上を殺した暁には、お前を大臣にしてやってもよい。
どうだ、お前にとっても悪くない話しだろう」
刺領巾は無言で考えた。
恐らく断れば今この場で自分は殺されてもおかしくない。
であれば、この話しにのれば命が助かる上に、大臣の役にもつける……
「分かりました。住吉仲皇子は私が討ちましょう」
刺領巾は自らが皇子を殺す事を、瑞歯別皇子に誓った。
「そうか、やってくれるか」
瑞歯別皇子はそれを聞くと、出来るだけ早くに実行するよう伝えて、彼の側を離れた。
「住吉仲皇子、済まない。そうしなければ私が殺されてしまう」
刺領巾は、今尚孤立している住吉仲皇子が哀れに思えて仕方なかった。