大和の風を感じて~運命に導かれた少女~【大和3部作シリーズ第1弾】
瑞歯別皇子(みずはわけのおうじ)住吉仲皇子(すみのえのなかつおうじ)を射ちました。これがその時に使った刃物です」

刺領巾(さしひれ)は瑞歯別皇子に刃物を見せた。
刃物には人の血が着いている。

皇子はその刀を手にとってまじまじと見た。

「これは住吉仲皇子の血で間違いないのだな。刺領巾よくやってくれた」

刺領巾も「間違いないです」と答えた。

これで自分は大臣になれる。
そう刺領巾が思いを巡らせたその時だった。

瑞歯別皇子が素早く自らの剣を取り出して、刺領巾を刺した。

「お、皇子何故私を……」

「ふん、簡単に主君を裏切るようなやつは信用出来ないからな!」

彼はそう言って、刺領巾をさらに数回斬った。

「く、くそー!」

刺領巾はそう言いながら、その場でもがき苦しんだ。

(結局は私も利用されてただけだったか...)

こうして住吉仲皇子同様に、彼もそのまま死んでしまった。


刺領巾を殺した瑞歯別皇子は「ふぅー」と言ってそのままその場を後にした。
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