俺様生徒会長に鳴かされて。
優羽にかまけて、あの抜け目ねぇヤツを警戒しておくのをすっかり忘れてた。
雪矢は俺と同じ生徒会メンバーで、俺の次に決定権のある副会長だ。
さっき、やけにあっさり引き下がったな、と思ったが、
早々と対抗策を考えていたからだったんだな。
ちょうど空いていた生徒会メンバーの座に俺が優羽を据えると踏んで、
無理しなくても優羽に接触する機会はあるとみなした上で、
方策の対象を、俺を優羽と引き離すことに変えやがったんだ。
一瀬雪矢
ほんと油断ならねぇヤローだ。
「ね、ところでー。
その子がルームメートさん?」
寧音が俺の陰に隠れるようにしていた優羽を見た。
「そーだけど。
小鳥遊優羽ってんだ」
「優羽ちゃん!可愛い名前!
よろしくね!私の名前は豊崎寧音(とよざき ねね)!
って、あなた、なんだか個性的だねぇ」
寧音お得意の満点スマイルの効果か、引っ込み思案な優羽も微笑を浮かべ返している。