俺様生徒会長に鳴かされて。
走って、走って。



追いかけてくる人もいたけど、とにかく走って、どうにか完全に逃げきることに成功した。



はぇ…何度も思うけど、ほんとに芸能人って大変なんだなぁ…。



彪斗くんが脚を突っ込みたくないって言うの、十分解かったよ…。





わたしたちは人から目のつきにくい、少し森の奥にあるベンチに座った。



「しっかしこんなに騒ぎになるとは…

俺としたことが考えなしだったな…

だいじょうぶか、優羽」


「ん。大丈夫だよ」


わたしは笑って見せたけど、

彪斗くんは不意に手を伸ばして、わたしの頬を撫でた。


「…こわかったか…?

顔色が、あんまよくない。

ごめんな。

おまえはこんなふうに騒がれることに慣れてないのに…」


「う、ううん…!

こわくはなかったよ?

ただ…びっくりしちゃって…。

だって、彪斗くんだってわかった時のみんなの興奮っぷり、すごかったんだもん。

彪斗くんって、やっぱりほんとの芸能人なんだなぁ、って思って…」


「……」
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