俺様生徒会長に鳴かされて。
彪斗くんは一瞬だまりこんだものの、すぐに呆れたような溜息をついた。
「…だからちがうって…。
たしかに俺のせいで余計に騒ぎになっちまったところはあるけど…
でも、あいつらをあんなに盛り上げたのは、おまえだよ」
「え?」
「おまえが、あいつらをぜーんぶ惹きこんだんだ。
だから、あの騒ぎはおまえが起こしたってこと」
「わたしが…?」
目をぱちくりさせるわたしを、
彪斗くんは、呆れとやさしさが混じった顔で見つめた。
「『ダイヤの原石』って言われる理由がわかったか?
おまえには類稀な才能があるんだ。
人を惹きつける歌の才能が」
わたしに、そんな才能が…?
「歌っている時のおまえ、すげーよかったよ。
いつもの小動物みたいなおどおどした感じが消え失せてて、
まぶしかった」
まぶしく…。
そう。わたしもまぶしく見えた…。
目を開けた瞬間、飛び込んできた景色が。
まるで、ステージにでも立っているような心地だった。
無数の人の目が、わたしだけを見ていて。
輝きを帯びたその目が、光の雨のようにわたしに降りそそいでいるように感じた…。
「歌ってる時、どんな心地だった?」
「…ちょっと、どきどきしたけど…
でも
たのしくて…」
「『もっと歌っていたい』って?」
こく、と最初に小さくうなづいて、
それから何度もうなづいた。
自分自身に確認するように。