俺様生徒会長に鳴かされて。
「こんな気持ちになったの初めて。
おとうさんの前でしか歌ったことがなかったし、
それで、いいと思っていた…」
あんな景色が見られると、知るまでは…。
「とても、いい景色を見たの。
あの景色を見た瞬間、
わたし自身も生まれ変わったような気がした…」
わたしは胸底から込み上げる喜びをいっぱいにこめて、
彪斗くんに笑った。
「彪斗くんのおかげだよ。
わたしを導いて、背中を押してくれなかったら、
ひとりでは絶対に見れない景色だった…」
…そっか。
と、小さくつぶやいて、彪斗くんはわたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
もう…
ただでだえ揉みくちゃになってボサボサになってるのになぁ…。
結び直さなきゃ、と思ったけど、
する、
と、ヘアゴムが取られて、
やさしい手つきで、三つ編みをとかれていく。
「彪斗くん…?」
「じっとしてろ」
ふんわりと髪を持ち上げ、彪斗くんはやさしく頭を撫でてくれた。
どう…したの?
と聞こうとしたとたん、
メガネが外されて、彪斗くんがぼやける視界に消えた。
「びっくり、だよな」
?
「こんなことするつもり、まったくなかったのに。
閉じ込めて、俺のそばにいさせるだけで、いいと思ってたのに…」
ぎゅう
不意に、抱き締められた。