俺様生徒会長に鳴かされて。

すぐに、独り言のような雪矢さんの声がした。



「…しない方が、ずっと可愛いな」



けど、混乱しているわたしには、その言葉の意味もよく解からない。



ぼやけた世界に投げ出され、不安で胸がおしつぶされそう。



そんなわたしを無視して、雪矢さんの手が、今度はおさげの髪どめに伸びる。



「髪も解いてみようか」



ゴムを取って髪をすいていく。

男の人に髪を触られることなんてなかったわたしは、緊張して固まってしまう。



ウェーブがかかった髪が、ふんわりと持ち上げられ、はらりと落とされた。



その瞬間、





「へぇ…」





雪矢さんが吐息まじりにつぶやいた。





「…ほんとに、ダイヤの原石だな…」





ぴりっ、と。



雪矢さんの雰囲気が、変わった気がした。
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