俺様生徒会長に鳴かされて。
『優羽。
おまえの歌声は、誰よりもすばらしい。
歌ってくれ、ぼくの小鳥。
おまえの歌声は、みんなに幸せをあたえるよ』
『君を歌手にするのは、お父さんの私への遺言でもあるんだ』
『ここを去るのは、君が大好きだったお父さんが君に宿した想いをも捨てる、ということになるんだからね?』
胸が苦しい。
なにも考えられない。
得体の知れない圧力に押し潰されてしまいそうで。
とっさに椅子から立ち上がると、わたしは逃げ出した。
「待ちなさい、優羽」
須田さんの声を聞いたのを最後に、部屋から飛び出した。
須田さんも雪矢さんも追ってはこなかった。
逃げ出したところで、わたしに行き場所なんて、他にはないことを知っているから。
この真っ白で綺麗なお城から出て行ってしまえば、独りでなんて生きていけない。
そうまるで。
ここは鳥籠だ…。
自分からまんまと入ってしまった鳥籠のなかで、わたしは闇雲に走りつづけるしかできなかった。